ワールド・ビジョン・ジャパン〜Professionals for Owners オーナーを支えるプロフェッショナルたち〜
南スーダンの難民キャンプで感じた、
子どもたちの成長と地域の変化
人道支援系の国際NGOは多くありますが、ワールド・ビジョンの特徴は何でしょうか。
迅速な緊急人道支援から、長期的な開発援助まで、子どもの健やかな成長を目指したマルチな総合力が何よりの特徴です。
世界100カ国で、約40,000人のスタッフが活動しています。
収入総額は2,500億円あまりに上り、世界では5本の指に入る規模になります。
規模が大きければいいというわけではありませんが、それだけできる支援の幅が広がるのは事実です。
災害や紛争などで、一刻を争う緊急支援では、日頃から備えていてすぐに動かすことができる資金、備蓄している支援物資、そして、専門性を持って世界各国で待機しているスタッフの力が物を言います。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、今年で設立30周年を迎えます。チャイルド・スポンサーシップによるご寄付や各種募金、国連や日本政府からの補助金などで約50億円の資金をいただいて活動しています。
昨年度は、南スーダン難民やシリア難民への緊急人道支援、ルワンダ、スリランカ、タンザニア、バングラデシュ、ミャンマーなどでの開発援助など、世界30カ国で127の事業を実施しました。
この仕事のやりがいを感じるときはどんな時ですか?
10月、エチオピアにある、南スーダンから逃れた難民が暮らすキャンプへ足を運びました。
中学校の開校式で生徒たちが自作の劇を披露してくれたのですが、そのテーマが、「女子教育の重要性」だったのです。
若い世代の中で新たな意識が芽生えていることを肌で感じ、それを自ら発信しようとしている姿に感銘を受けました。
自分たちの活動が、子どもたちの成長や地域の前向きな変化に貢献していることを実感できたときは、改めてこの仕事に大きな誇りとやりがいを感じます。
一方、活動をされていて、難しいと感じるのはどういうことでしょうか。
やはり、人の考え方や行動を変えることですね。
学校や井戸といったハード面の整備は、比較的容易です。
しかし、人の心や長年の習慣、コミュニティの文化や慣習を変えるというのは、本当に難しいことだと感じます。
例えば、貧困エリアの多くでは、子ども、とくに女子への教育が進んでいません。
現地の人も、それが問題だということはわかっているのですが、解決は簡単ではありません。
「娘への教育の大切さも必要性もわかる。でも、娘が学校へ行ってしまったら、家のことは誰がやるんだ。幼い妹・弟の面倒は誰が見るんだ」
と言われてしまうことも多々あります。
地域や家庭により事情は千差万別ですから、一つの正しいマジックアンサーはありません。
問題は複雑に絡み合っており、それを一つずつほぐしていく必要があるのです。
かつては日本にも、女子教育なんて、女性が社会に出るなんてもってのほか、という時代がありました。
しかし、時を経て日本は大きく変わりました。
ですから、開発途上国も絶対に変わることができるはずなんです。
ただし、それには時間がかかります。困難だからとあきらめず、一歩一歩愚直に進んでいくことが大切だと思っています。