ヒューマンホールディングス株式会社~Professionals for Owners  オーナーを支えるプロフェッショナルたち〜

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経済・ビジネス

上場したものの、苦境の時期が到来
波乱万丈も、その経験を生かした経営体制に

それで上場することになったんですか。

当時はテレビCMなどもやっていましたので、知名度はそこそこありましたし、資金繰りにも困っていませんでした。
私は上場に反対したのですが、会長の気持ちは変わらなくて。
実際の準備は、反対していた私が中心になってやったのですが、半分は親孝行の気持ちでしたね。

上場したことで変化はありましたか。

ガラリと変わりましたね。
上場企業は厳しい目でチェックされますから、ルールも厳しくなりますし、会計にも透明性が求められ、あれこれと調査なども入ります。
当時は経営においてIRが重要視されていた時期で、仕事もIR関係ばかりになりました。
今思えば、上場企業としてこれまで以上に責任を持って経営計画をたてるようになり、強固な管理体制が構築できたと思います。
社内的にも、社員も上場企業の社員になったと喜んでくれて、明るい雰囲気になりましたね。

上場されると金融機関などから融資を受けやすくなるメリットもありますよね。

実は、それが2006年、2007年と職業訓練給付金バブルの崩壊や固定資産の減損など良くないことが重なって、教育事業が債務超過になってしまったんです。
生徒さんがいますから教室を一気に減らすこともできません。
3年間の経営立て直しプランを提示しても、金融機関にはなかなか信用してもらえませんでした。

苦しい時期に2行だけ融資してくれるところが見つかり、なんとか乗り切りました。
2年目に5%以上の利益が出ると次第に信用を得られるようになり、その後は利益の半分以上を教育事業で出せるほどまでに回復しました。

人材派遣事業は順調だったのでしょうか。

小泉純一郎政権で人材派遣事業の規制緩和が進んでいたこともあり好調だったのですが、自民党中心の政権から民主党(当時)中心の政権へ交代したタイミングで、状況が一変しました。
人材派遣業への規制が強化されたのです。
一番苦しかったのが、調査が入って、業務改善命令を出されたこと。
例えば、業務内容に事務作業とだけ書いてある派遣社員がお客さんにお茶を出したら違反だとか、基準が厳格化されたのです。
そこで、2009年に533億円あった人材派遣事業の売上が、2012年には274億円にまで落ち込みました。
大幅な減益となりますから、会社の信用も落ちます。
断腸の思いでリストラに踏み切り、その時期を耐え忍びました。
本当に波乱万丈でしたが、この経験があったからこそ、外的な要因に対するリスク管理など、体制強化につながった面もあるのかなと今は思っています。