国境なき医師団〜Professionals for Owners オーナーを支えるプロフェッショナルたち〜
ドナーからいただいた寄付はバトン。
お金を医療に換えて、必要な人に届ける
国境なき医師団を支援するためには、どのような手段があるのでしょうか。
大きく分けると、「寄付する」「参加する(派遣スタッフになる)」「活動を広める(知って伝える)」の3つになります。
これら3つはすべて等しく重要です。
みなさんが無理のない範囲で、できる支援をして頂ければ十分、というのが私たちのスタンスです。
社会貢献というのは、何もお金を寄付したり自分が参加したりすることだけではありません。
世界にはこのような状況やそれを支援する活動があることを知り、それを周囲の人に伝えることも、立派な社会貢献なのです。
私たちも、メディアなどを通して国境なき医師団の活動について発信し、社会の興味関心を高める努力をしていく必要があると感じています。
もちろん、寄付というのもその手段の一つです。
国民性や文化の違いから、日本では寄付をするという習慣があまり根付いていません。
日本事務局への寄付金が年間79億円であるのに対して、アメリカでは約300億円が集まっているという数字も、それを物語っています。
しかし、2011年は約53億円だったことを考えると、日本でも少しずつ意識が高まってきていると感じます。
毎月継続的に寄付をいただいたり、プロジェクトごとに頻繁に寄付をいただいたりしているアクティブドナーの方が約30万人いるほか、最近では遺産や相続財産を寄付していただく遺贈も増えています。
寄付は、バトンです。
お金というバトンを受け取った私たちが、それを医療というかたちで必要な人のところに届ける。
そんな気持ちで活動しています。
多額寄付者、いわゆるメジャードナーの方々に向けては、どのようなサポートをされているのでしょうか。
弊団の事務局長や活動スタッフによる詳細の活動レポートをお送りしたり、セミナーを開催したり、専任のチームにより、きめ細かい対応をさせていただきます。
いずれのケースでも私たちが重視しているのが、支援者の方とコミュニケーションをしっかりと取ること、そして、正しい情報をあるがままにお伝えすることです。
寄付してくださった方々に対して、私たちには説明責任があります。
高い透明性を確保するという点も、国境なき医師団という組織のあり方を反映していると思います。
例えば、資金をいくら調達し、何にいくらを使ったか等は、監査法人の監査を受けた上で、財務諸表を公開しています。
また、資金を必要以上に集めないことにも注意を払います。
数年前に西アフリカを襲ったエボラ出血熱の際には、全体で133億円の活動資金が必要でした。
そのうち日本では8億5千万円を上限に使途指定の寄付金を募ったのですが、非常に多くの支援者様からエボラを使途とした寄付の申し入れを頂きました。
募集を開始して半年経たないうちに上限に達したため、それ以降はエボラを使途に指定した寄付の受付を中止しました。
寄付というのは個人的体験に基づく行為であり、その人の価値観が表れるものだと思います。
ですから、押し付けるつもりはまったくありませんが、寄付を考えている方にしっかりと真実をお伝えし、意思決定のサポートをすることが、私たちの役目だと考えています。