サイボウズ株式会社〜Professionals for Owners オーナーを支えるプロフェッショナルたち~
100人いたら100通りの働き方があってよい。
社員の声を聞き、社員に発信し、制度と風土を改革
現在では柔軟で多様なワークスタイルの実践で知られる御社ですが、その取り組みはどのようにスタートしたのですか?
グループウェア一本で行くと腹を決めたのと同時に、一緒に働くメンバーと楽しく盛り上がれる会社にするぞと思ったのがきっかけです。
社長になってから2年間ほど迷走した間に、社員にはいろいろと迷惑をかけてきました。
とくに、M&Aの連続で、財務部門の社員には余計な仕事をたくさんさせてしまいました。
それを目の当たりにして、サイボウズはこの人たちのおかげで生き残っている、この人たちを尊重しないわけにはいかない、この人たちのためにも、絶対に楽しい会社にしなければならない、と思ったんです。
楽しい会社にするぞと意気込んだものの、会社の経営を危うくさせた私への信頼度は高くないですし、人もどんどん辞めていたので、本当にゼロからのスタートでした。
具体的にはどのように社内の制度や空気を変えていかれたのですか?
まずは制度面から着手しました。
どうすれば社員が楽しく働ける会社になるかは、実際に社員に聞いてみないとわかりません。
残業したくない、短時間勤務や在宅勤務を認めてほしい、副業がしたいなど、意見や本音を出してもらいながら、少しずつ制度を整えていきました。
一方、残業しなくていい制度を作ったら、「(会社は)残業代を払いたくないんですね」と言われたこともあったりして、信頼を得るまでにさらに数年かかりました。
制度の整備と同時に、社員に向けて私からメッセージを発信しました。
もしこの会社で自分が望む働き方ができないのであれば、それをちゃんと言ってほしいし、言うことがあなたたちの責任(質問責任)である。
すべてを叶えられるかはわからないが、言ってくれたら必ず議論をする。
そう伝え続けた結果、いろいろなアイデアが出てきました。
そして、できることから変えていき、変わることでさらに意見やアイデアが出やすくなりました。
多様な働き方やユニークな制度など、人事面にはかなり力を入れていらっしゃる印象です。
人事への投資は、とくに人手不足の今の時代においてはとても重要です。
楽しくて働きやすい会社であれば、メンバーのモチベーションが高まり、それが業績にも跳ね返ってきます。
人事はリターンが取れる投資なのです。
ありがたいことに、近年は「働きがいのある会社ランキング」(Great Place to Work® Institute Japan)や「HRアワード」(日本の人事部)などの上位にランクインしていますが、働く人が望んでいるベネフィットは、高い給与だけではありません。
副業ができるか、リモートワークができるか、好きなときに休めるかなど、人によって望む条件はさまざまです。
とくに最近の若い人は、その傾向が強いでしょう。
100人いたら100通りの働き方があってよいというのが、サイボウズの基本姿勢です。
給与はもとより、それ以外の部分での満足度をどこまで高められるかが、優秀な人材の確保にも不可欠な視点だと考えます。