サイボウズ株式会社〜Professionals for Owners オーナーを支えるプロフェッショナルたち~
良いソフトがないなら自分たちで作ろう。
3人で“どベンチャー”企業を共同創業
国内トップシェアを誇る「サイボウズ Office」などのグループウェアを中心に、近年はクラウドサービスや研修事業まで手がけるサイボウズ株式会社。
働き方改革が声高に叫ばれるようになる以前から、多様な働き方を実現してきた企業としても知られています。
自ら育児休暇を取得したことでも話題になった同社の青野慶久代表取締役社長に、起業の経緯から現在までの道のり、さらに企業理念やビジョンについても伺いました。
聞き手:芦田 敏之(税理士法人ネイチャー国際資産税 代表)
まずは、サイボウズ起業の経緯についてお聞かせください。
私は大学を卒業して松下電工(現パナソニック)に勤めていたのですが、専門がコンピューター系だったこともあり、インターネットが伸長してきたときに、この技術は世の中を変える、と直感的に確信しました。
そして、この技術を使えば人々の情報共有を格段にスムーズにできるだろう、みんなが協力して働けるようなシステムが作れるだろう、と考えました。
そこでいろいろと調べてみたのですが、当時はあまり良いソフトがなかったんです。
ないなら自分たちで作ってしまおうと、1997年に3人で起業しました。若気の至りです(笑)。
創業当時から、グループウェアに特化されてきたのですか?
実は、M&Aをしていろいろな事業に手を出してきたのですが、9社買収したうち8社は売却しました。
一時期はかなり迷走しましたが、グループウェア一本に集中することにしました。
起業する際には、周囲から上場のプレッシャーもあったかと思いますが、いかがでしたか?
周囲というよりも、自分たちの中でプレッシャーがありました。
上場しか頭になかったんです。
当時、Netscape(ネットスケープ)というアメリカの会社が起業から短期間で上場し、一時期は世界を制するくらいの勢いだったのですが、イメージはそれでした。
創業して、上場して、会社の規模を加速度的に大きくしなければならない。
ベンチャーだからすごい勢いで成長しなければならない。
そうでなければ意味がない。そう思い込んでいました。
“どベンチャー”の考え方ですね。
振り返ると、買収した会社の売上も取り込んで、無理やりに売上を上げていたような時期もありました。
当時は、多くのベンチャーが生まれた時代だったと思いますが、現在まで生き残っている会社とそうでない会社とを分けた要因は何でしょうか?
まず資金面で言うと、ビジネスモデルがしっかりしているかどうかですね。
良い商品やサービスを作るだけでなく、それをお金に換えることができる、つまりマネタイズできることが、生き残る条件だと思います。
あとは、組織ですね。
引き抜いたり引き抜かれたり、追い出したり追い出されたり…が激しい業界ですので、そのなかでいかに強い組織を作れるかが、分かれ目になったと思います。