ファンドを活用した事業承継
事業承継ブームを支える“ファンド”とは?
事業承継の4つのパターンについてご説明しました。
次に、そのうちの2パターンの場合において活用されるファンドについて、
仕組みやどのような状況であれば有効なのかをご説明します。
ファンドが活用されるケースは、
「後継者への譲渡」と「外部資本によるM&A」
前ページにおいて言及した事業承継の4つのパターンのうち、「後継者への譲渡」または「外部資本によるM&A」という手法を選択する場合において、ファンドが活用されます。
まず、「後継者への譲渡」の場合においては、後継者は何らかのかたちで株式買取資金を工面しなければなりません。
しかしながら、多くのケースでは、必要資金の全額を後継者が工面することが困難であるため、後継者の自己資金に加えて外部調達をすることが一般的となっています。
外部調達に際しては、調達コストの低い銀行借入を活用するのがもっとも主流かつ効率的と言えますが、銀行の与信枠の都合などにより、銀行借入のみでは必要資金が賄えないケースも散見されます。
このような場合に、ファンドの資金が活用されるのです。
次に、「外部資本によるM&A」の場合においては、「事業会社によるM&A」と「ファンドによるM&A」という2つのパターンに分類できます。
「事業会社によるM&A」は、通常は半永久的に同一資本の下で経営することになります。
したがって、M&A後の事業シナジーは期待しやすいものの、会社の独自性は失われてしまうことも多いため、それを望まない場合には「ファンドによるM&A」が選択されるのです。
以上をまとめると、事業承継においてファンドが活用される場面としては、以下のケースが挙げられます。
① 後継者への譲渡を行う場合で、銀行調達のみでは資金工面ができないケース
② 後継者が不在の場合で、事業会社へのM&Aを希望しないケース
次は、ファンドを活用した場合のメリットと留意点についてお伝えします。