WWF ジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン) 〜Professionals for Owners オーナーを支えるプロフェッショナルたち〜
人と自然との共存を目指し、
日本人の消費行動を変えていく
企業と協働するプロジェクトもあるのでしょうか。
複雑化、長期化、グローバル化する地球環境問題に取り組むためには、社会的、経済的に大きな影響力を持つ企業との協働が不可欠です。
これからの時代は環境保護NGOと企業とが真のWin-Win関係を築くことが必要だ、というのがWWFの基本姿勢であり、設立以来、多くの企業と共に歩んできました。
なかでも、人と自然とが共存する持続可能な社会を共に目指す「グローバル・コーポレート・パートナーシップ」という契約体系があり、パートナー企業は世界に約30社あります。
「持続可能な事業活動の推進」、「社会への環境コミュニケーション」、「自然保護プロジェクトへの資金支援」の3分野についてグローバルな規模で協働するのですが、2016年、トヨタ自動車が自動車会社としては世界で初めて、日本企業としても初めて、パートナー企業となりました。
その決め手になったのが、トヨタが2015年に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の「CO2ゼロチャレンジ」(2050年までに新車のCO2について2010年比90%削減を目指す)や「人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ」(森や自然を守る取り組み)です。
従来は、「自動車=二酸化炭素排出=地球温暖化」というつながりに対する意識が強く、自動車会社がパートナー企業に選ばれることはありませんでした。
こうした企業に対する見方はやはり厳しく、WWFも石油やたばこの関連企業などとは、連携をしていません。
しかし、トヨタのビジョンはWWFのミッションと重なる部分が大きく、パートナーシップの契約へと結びつきました。
もちろん、業界全体の環境保全意識に対する影響も絶大です。
このような企業が今後増えていくことを、WWFとしては心より望んでいます。
今後、WWFをはじめとしたNGO団体の活動はどうなっていくとお考えですか。
NGO団体の活動やそれに対する支援という面で、日本人の意識は確実に変わってきていると感じます。
その根本には、「幸せとは何か」という問いかけがあるのではないでしょうか。
ものにあふれた消費社会に生きる私たちは、社会に貢献することによる満足感・充足感を求めているのではないか、と感じるのです。
そして、そういう気持ちを拾い上げていくことも、NGO団体に求められることなのではないかと思います。
そのためにも、まずは、自分たちの存在や活動について知ってもらうことが大切です。
一般の方々に向けてより積極的にアピールができたら、NGOを取り巻く環境も変わるのではないかと思います。
最後に、WWFジャパンの今後の活動について、お聞かせください。
私たち人間は、自然を消費することなく生きていくことはできません。
しかし、自然をできるだけ破壊しないよう、再生可能な方法で消費することは可能です。
WWFジャパンでは、他の国の手本となるよう、消費国に暮らす日本人の消費行動を変えていきたいと考えています。
一人ひとりができることは、小さいようで大きいと私は思っています。
一人ひとりが自分ができる範囲で行動を変えていくことが、世の中を変える大きな力につながるのです。
思いを実際の行動に移すためにも、「自分が正しいと思ったことをやる」というスタンスが受け入れられる世の中になればいいなと、願っています。